20220503

わたしはただの小学生
今日は学年別球技大会がありドッチボールに参加していた。もちろん控えめなわたしはボールから逃げてばかり。それでも運良く自分のチームが勝利し、なんと優勝商品の旅行チケットを頂いた。
ペアチケットなので、母親を誘った。あっという間に当日を迎え、わたしたちはそれなりに楽しんだ。

しかし夜、事件は起きてしまったのだ。少し酔っ払っていたので、わたしはスロープを歩くのが面倒で真下にジャンプして見せた。そのとき、母親もわたしに続いて飛んだのだ。案の定、転倒してしまった。

「大丈夫、、?、、え、?? お母さん、、??」

なんと母親の姿はみるみる別人になり、とても豪華な貴族に変身してしまったのだ。
顔も身なりも違うので、わたしが戸惑っていると、元母親の貴族は、不機嫌そうに立ち上がり、近くのオーダーメイドのスーツ店に足を運んだ。わたしは外で待っとけば良かったと後悔するのだった。

豪華な内装に、品のある人達、歩くスピードはわたしの2倍程遅そうだ。休日だからか分からないが、その人たちの子供と見受けられる子たちもいたが、みな背筋が伸びていて、なんだか自分が貧相に感じ、早くここから出たかった。
元母親の貴族は、専任の店員に事情を話していたがやや口論になっていた。もちろん店員はきちんと対応していたが。恥ずかしくなったので、一旦外の空気を吸うよう促し脱出。

外の空気を吸い、落ち着いたのもつかの間。
元母親の貴族は大きな家に入り、使用人に服を用意させた。そしてリビングに向かうと、もう既に2人、4人用のテーブルに向かい合って座っていた。メイドも3人ほどいた。
わたしは何もできず立ち尽くすていると、元母親貴族が着替えから帰ってきて、メイドにお茶を入れるよう命令して、わたしに座るよう仰った。張り詰めた空気のせいで気づかなかったが元々座っていた2人はどうやら子供らしい。わたしが閑静な部屋で、このよく分からないお茶を飲んでるのに耐えられなくなっていた矢先、もう1人、誰かが帰ってきた。

その子も子供に見えた。でも誰も話しかけない。この家庭の事情は知らないが、この子が何らかの理由で嫌われていることは明白だ。あまりにも可哀想だったので、わたしは席を譲りその場の空気がどうなるのか見ていた。変化なし。メイドたちはおしゃべりし、嫌われ者の子供にお茶も出さないのだ。わたしはメイド達を見つめたが、無視されてしまった。

ここにいる人たちはみな命令されないと、動かないんじゃないのか、、?ふとそんな事を考え、こんなことを言って見せた。「わたしは、この方(元母親貴族)の連れです。今すぐこの子にお茶を出しなさい。出なければ全員クビよ。」少し言ってて恥ずかしかったが、メイド達はため息をついてからお茶の準備を始めた。

なんとなくこのプライドの高い貴族のルールが見えた気がした。